私たちも過ごした5年前の「あの日々」に人生を見つめ直す、圧倒的共感の物語
2020年4月、新型コロナウイルスのパンデミックにより世界中で外出が制限された春。 映画監督のポールと音楽ジャーナリストで弟のエティエンヌは、それぞれが本格的な交際を始めたばかりであるモルガン、そしてキャロルとともに、子どもの頃に暮らした郊外の家に閉じこもって生活することになる。 懐かしい風景、新たな生活様式への戸惑い、世界から切り離されたような感覚、一緒に住んで初めて知る互いのこと…なにもかもが変わり、すべてが「止まってしまった」時間のなかで、ポールたちは不安を抱えながらもゆっくりと、たしかにそこにある光、愛と人生の新たな側面を発見していく。
急に自炊に凝り出した。またネットで不要なものを買ってしまった。屋外で本を読む気持ちよさを知った。道で友人に会い、うれしくって泣いてしまった。縫い付けられた日々にたしかにあった、忘れてしまいたい時間、覚えておきたい静寂、ふとした優しさに救われる気持ち──
あれから5年。 あのころの私たち、どうだった?そしていまの、これからの人生はどうだろう。
名匠アサイヤス監督が誰しもの心に残る「あの日々」を描き、人生を見つめ直す傑作ロマンス・コメディが、観客を笑いと共感で包み込む。
フランス映画界の宝石たちが集結し紡ぐ、美しい春の光に照らされた見事なアンサンブル
オリヴィエ・アサイヤス監督が実際に弟と子供時代を、そしてロックダウン期間を過ごした両親の家で撮影された本作。「あの春」の体験や自伝的要素を多分に含み、アサイヤス自身「これまでの作品のなかでも最もパーソナルで親密」と語る映画に仕上がった。
そんな監督の分身として、3度目のタッグを組むヴァンサン・マケーニュが主演を務め、スタッフ陣もフランス映画界を代表する才能が集結。撮影はアルノー・デプレシャンやレオス・カラックス、ジャ・ジャンクー作品で知られるエリック・ゴーティエ、編集はミカエル・アースやミア・ハンセン=ラブ作品を手掛けるマリオン・モニエが担当。その他のスタッフも、セリーヌ・シアマやアラン・ギロディ、ウェス・アンダーソン、クレール・ドゥニからフランソワ・トリュフォーまで、錚々たる名監督たちを支えたメンバーがそれぞれに才能を発揮する。
2024年/フランス/105分/1.85:1/5.1ch
原題:Hors du temps 英題:Suspended Time
字幕翻訳:手束紀子 配給:Bunkamura
第74回ベルリン国際映画祭 コンペティション部門正式出品
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス(『夏時間の庭』『冬時間のパリ』『イルマ・ヴェップ』)
撮影:エリック・ゴーティエ(『そして僕は恋をする』『ポーラX』『新世紀ロマンティクス』)
編集:マリオン・モニエ(『サマーフィーリング』『それでも私は生きていく』『イルマ・ヴェップ』)
音響:ロマン・カディラック(『アデル、ブルーは熱い色』)、サラ・レリュ(『燃ゆる女の肖像』)、ニコラ・モロー(『ダンサー イン Paris』)、オリヴィエ・ゴワナール(『トム・アット・ザ・ファーム』)
美術:フランソワ・ルノー・ラバルト(『湖の見知らぬ男』『ハイ・ライフ』)
衣装:ユルゲン・ドーリング(『パーソナル・ショッパー』)
助監督:ドミニク・ドゥラニ(『君の名前で僕を呼んで』)
スクリプター:アン・ロール・ユエ(『ファルコン・レイク』)
ヘアメイク:ティ・ロアン・グエン(『アメリカの夜』『愛、アムール』『ポルトガル、夏の終わり』)
ロケーション:クレマン・ブノワ(『皆さま、ごきげんよう』)
キャスティング:アントワネット・ブラ (『グッバイ・ファーストラブ』、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』)
出演:ヴァンサン・マケーニュ(『女っ気なし』)、ミシャ・レスコー(『サンローラン』)、ナイン・ドゥルソ、ノラ・アムザウィ(『オークション 〜盗まれたエゴン・シーレ』)、モード・ワイラー(『ライオンは今夜死ぬ』)、ドミニク・レイモン(『感傷的な運命』)、マグダレナ・ラフォン